→「あとがき」
ガイドブック(PDF)へ
あとがき ーサイエンス・フェスタ2023ー
あとがき
「自然現象の不思議には、自分自身の眼で驚異しなければならぬ」
「科学はやはり不思議を殺すものではなく不思議を生み出すものである」
 かつて、物理学者の寺田寅彦は教え子である学生にこのような言葉を言ったそうです。様々なテクノロジーが進歩し続ける現代において、自分が知りたいことや見たいものがあれば、インターネットや動画サイトやSNSなどで簡単に情報や知識を得ることができます。また、近年では生成AIの発展も著しく、より多くの情報を生み出したり分析したりすることができます。しかし、使い方次第ではとても便利ですが、それらは受け身で得た見聞であり、人間の五感で感じる感動と比較すると一時的な感動を得たのみに過ぎないのではないでしょうか。
 さて、昨年度の「青少年のための科学の祭典大阪大会」(サイエンスフェスタ)より会場を大谷中学校・高等学校に変わり、「ウィズ/ポストコロナ時代にいきる」をテーマで、動画での出展に加え、対面式によるブース出展も再び行うことができるようになりました。今年度も同様に、様々な学校、企業、団体の方々による出展や、野外実験も行われるようになり、各団体の方々の創意工夫を凝らした実験や展示に触れ合えることは、喜ばしい限りであります。
 サイエンスフェスタでは、多くの実験やものづくりや科学のおはなしなど、様々な不思議に直に触れ合えることが大きな魅力です。こうした交流を通して、実際に感動してみたり疑問を投げかけてみたりとすることで、それらの不思議に対する学びを深めることができます。
 「すごい!」という感動だけでなく、「どうなっているのだろう?」「やってみよう!」という興味や意欲を持っていただければ幸いかと存じます。そして、このサイエンスフェスタで得た不思議を、持ち帰ったあとで真似して取り組んでみたり、条件を変えて新しく取り組んでみたりして、新たな不思議を発見していくのも良いでしょう。そうしたきっかけから、科学を志す者が輩出されるであろうと信じてやみません。また保護者の方々にも展示内容等に触れて科学を楽しんでいただくと同時に、お子様の科学に寄せる興味関心の芽を育む際の参考にしていただければと思います。

 あとがきの結びにあたり、サイエンスフェスタが今以上に多くの人で賑わい活気ある科学の祭典になっていくことを願って止みません。コロナ禍の状況を常に鑑みながら運営や会場提供等をしていただきました大谷中学校・高等学校の皆様方、そしてこの大会に対して深いご理解とご支援を頂戴した関係者の皆様方には、心より感謝と御礼を申し上げます。



2023年8月
実行副委員長八島 昌大